新型コロナウイルス感染の影響のもとで、さまざまな働き方を探ろうということ
で政府が週休3日で働ける仕組みである「選択的週休3日制」導入の検討を始め
た。
加藤勝信官房長官は5日の記者会見で、希望すれば正社員として1週間に3日の
休みをとれる「選択的週休3日制」について「政府として、どういうことができ
るのか検討していきたい」と述べ、普及推進に前向きな考えを示した。
さらに、「育児、介護、闘病など生活と仕事の両立を図る観点からも多様な働き
方を推進することは重要だ」と指摘した。
そのメリットは?
働き方をめぐっては新型コロナウィルス感染拡大の影響で、全国でテレワークや
時差出勤を取り入れる企業の動きが広がっている。政府は週休3制も選択肢とす
ることで、多様な働き方を後押しできるとみている。
一部の企業ではすでに導入が始まっている週休3日制は、昨年以降時差出勤やテ
レワークなどと共に、新型コロナウイルスの感染拡大予防のために労働者の通勤
の頻度を減らす対策の一環として注目を集めている。
また、新型コロナウイルスの感染拡大によって打撃を受けた観光産業を支援する
という名目のもとに、旅行がしやすい同制度の普及を求める声も上がっている。
さらに、子育てや介護のほか、ボランティア活動への参加などにもメリットがあ
るとしている。週に1~2日、故郷に帰って地方で兼業したり、地域活動に関わ
ったりすることで地域活性化につながるとの見方もある。
デメリットは?
その一方で、週休3日で給与が減るケースも想定され、働き手の減少に苦しんで
きた中小企業や小規模事業者でもこの制度が実現できるのかなど課題も指摘され
ている。このため、自民党内では週休3日制を導入した企業に対しては何らかの
支援措置を適用する案も出ている。
週休3日制は雇用する側にとっては、社員の多様な働き方に柔軟に対応すること
で社員のそれぞれの生活事情による退職などを防ぐことができ、人材を確保でき
るといったメリットがある。
一方で導入を巡っては、給与の大幅は削減や、就業日の稼働時間が長時間になる
ケースなどが懸念されている。国家公務員を対象に同制度を導入する場合は法改
正が必要となる可能性も指摘されている。
ただし、雇用する側から言えば、従業員の労働時間が短くなって生産性が下落す
ることがあっても従業員の待遇を確保しなければならず、大企業ならまだしも体
力のない中小企業にとっては大変な痛手となる可能性がある。
また、雇用される側から言えば企業がその体力を維持するためにやむなく従業員
の待遇を下げる方向に動かざるを得なくなる場合もある。
さらに、大企業では進んでいる週休2日制もほとんどの中小企業では進んでおら
ず、現在でも休みは週に1日だけが大半である。それをいきなり週休3日制にす
るというのもかなりハードルが高い。
結果的に、雇用する側、雇用される側いずれにもメリットがもたらされる可能性
が高いのはやはり大企業ばかりであり、ここでも泣かされるのは中小企業といっ
た結果になる可能性が高いと言わざるを得ないのである。