
秋田新幹線の高速化の追求に伴い、JR東日本は秋田新幹線の田沢湖線内に新たな
トンネル建設を検討している。
区間は田沢湖線の赤渕駅と田沢湖駅の間。
既存の複数のトンネルを利用するというよりも新トンネルの建設となっている。

単純に地図を見ただけでも急峻な山々の連なりが想像される。
トンネルで貫くことができればそれなりのスピードアップが期待できる。
そもそも、秋田新幹線「こまち」に乗車してみれば感じることができるのである
が、東京から盛岡まで東北新幹線で行って(「はやぶさ」に連結 )、
そこから秋田新幹線に入ると途端にスピードが落ちたことを実感できる。
逆に言えば、秋田から秋田新幹線に乗車すると、盛岡から東北新幹線に入ると
かなりのスピードアップが実感できるというわけだ。
JR東日本によると、この駅間をトンネル1本で直行することができるようになれ
ば所要時間を約7分短縮できるとのことだ。そして、その建設費用は約700億
円という。
一見、たった7分の短縮のために700億円は費用的に見合わないのではないの
かとも思われがちであるが、日本の鉄道と言うものはほんの1分の時間短縮のた
めにでもその技術向上にしのぎを削っている。
ましてや、あまたの鉄道会社の中でもその規模が全国レベルとなるJRに関しては
航空会社との争いが常に付きまとうのだ。
時間短縮に向けての努力は恒常的なものなのだ。
さらに、秋田新幹線の走行区間は名だたる豪雪地域である。豪雪やそれに伴う強
風などによってのため、「こまち」は遅延、あるいは運休といったトラブルに見
舞われることが多い。
前述のとおり、秋田新幹線「こまち」は東北新幹線「はやぶさ」に連結されて
東京駅まで乗り入れるので、遅延が発生すれば東北新幹線、さらには北海道新幹
線にまでその影響が及ぶ。東京駅から大宮駅の間は上越新幹線や北陸新幹線も乗
り入れているので、秋田新幹線のダイヤが乱れるとJR東日本の新幹線全体に影響
が出てしまう可能性がある。秋田新幹線で新幹線に遅れが発生することによって
北陸新幹線にも遅れが発生する可能性があり、秋田の影響がそこから遠くはなれ
た金沢に向かおうとする人たちにも迷惑が及ぶことも十分にありうるということ
になるのだ。
つまり、トンネル1本で厳しい自然災害に襲われやすい区間を回避できるのであ
れば遅延や運休も減少し、費用面だけでははかることのできないメリットがある
のだ。
単純に秋田までの到達時間を短縮する、といった発想に立てば、山形新幹線をさ
らに北上・延伸する、現在行われている大曲駅でのスイッチバックの回避、など
があげられるのではあるが、いまのところこれらの案が採用される様子は見当た
らない。
以上、見てきたように新トンネルの建設は大きなメリットをもたらすこととなる
だろうが、JR東日本は前向きに検討中、ということでその時期については未定と
なっているのが現在の状況である。
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