
16日、広島・鈴木誠也外野手が今オフにポスティングシステムを利用してメジ
ャーリーグ移籍を目指すことが正式に決定した。球団が本人の意思を確認した上
で、挑戦を容認した格好だ。来週中にもNPBに申請する運びとなった。このポ
スティングシステム利用に関しては、広島では2015年オフの前田健太投手と
2019年オフの菊池涼介内野手に続き、鈴木が3人目となった。なお、結果的
に前田はメジャーリーグへと移籍したが、菊池は広島へ残留となっている。鈴木
は今シーズンは首位打者と最高出塁率の2つのタイトルを獲得し、東京オリンピ
ックでは全試合で4番打者として金メダル獲得に貢献したのは周知のとおりだ。
日本屈指の強打者は、複数のメジャー球団による争奪戦が確実視されている。
メジャーのどの球団へ
今シーズンメジャー最多の107勝を挙げたジャイアンツをはじめとして、多く
のメジャー球団が鈴木獲りに参戦する模様だ。長打力、確実性、俊足、強肩、守
備力とあらゆる面でトップクラスの外野手として、メジャーリーグではMVPを
3度獲得したエンゼルス・トラウトを彷彿とさせるといった印象を持たれてお
り、どの球団でも入団即レギュラーが期待できるだけに今から激しい争奪戦が予
想されている。米メディアではカブス、マリナーズ、ドジャース、ロイヤルズ、
レンジャーズ、フィリーズ、レイズ、メッツなどが獲得に名乗りを上げると報道
されている。が、ここに来てジャイアンツの編成の最高責任者であるF・ザイデ
ィ氏が「彼はウチのチームにフィットする」と発言し注目されている。来シーズ
ンのジャイアンツ外野のレギュラー候補はそろって左打ちとなっており、チーム
の至宝とも言えるポージーも引退を表明しており、鈴木に対する思いは強いとい
えそうだ。今シーズン世界一となったブレーブスはシリーズMVPとなったソレ
ア、ロサリオ、ピダーソンがそろってFAになる上に、右膝十字靱帯を断裂した
主砲・アクーニャが来シーズン開幕に間に合わないケースを考えると、鈴木の獲
得に乗り出す可能性は大きい。さらに、ヤンキースもジャッジ、スタントンと右
の大砲を抱えてはいるものの2009年を最後にリーグ優勝から遠ざかってお
り、鈴木の獲得に名乗りを上げても何ら不思議ではない。2020年に日本球界
からメジャー入りしたレッズ・秋山、(レイズ、ドジャースを経て)パイレー
ツ・筒香の成績が思ったほど振るわず、日本の外野手の実力不足を指摘する声が
あることも事実ではあるのだが、報道では鈴木の27歳というまだ年齢が若いこ
とだけではなく、先述のとおりあらゆる面でトップクラスの外野手であるという
ことからこの2人とは事情が異なっており単純に比較することはできないと報じ
ている。ただし、今回はポスティングシステムによる譲渡金が加わるためマネー
ゲームになるのは必至の状況にある。だが、今オフのメジャーリーグでは12月
1日が期限の労使交渉の難航が予想されており、交渉が決裂すればオーナー側の
ロックアウトの可能性があるだけに早い段階に移籍先が決まることもありえる。
今後の動向に注目が集まっている。