巨人の原辰徳監督の来シーズン続投が報じられたのは10月10日だった。この
時、巨人はどんな状態であったのか――。実は、前夜9日のマツダスタジアムで
の対広島戦では先発の戸郷が初回から広島打線に打ち込まれ、攻撃では9回表に
丸のソロホームランで1点を取るのがやっとというありさまで7対1で大敗を喫
している。翌朝、「巨人・原監督」の文字が目に飛び込んできた方々はてっきり
原監督退陣か、と色めき立ったことであろう。が、報道はまったく逆のものだっ
た。何ともいわれようのない違和感に襲われたのは筆者だけではあるまい。た
だ、その内容をよく読みこんでみると「9日、巨人の原辰徳監督が来シーズンも
続投する方向で調整していることが分かった。正式要請となれば受諾に障害はな
い模様だ。」とのことだ。そう、「主語」は原監督自身で来シーズンもやるのか
やらないのかは原監督自身が決めること、ということになる。まさに、原監督を
辞めさせることができるのはこの広い世の中で原監督本人のみ、ということだ。
異例の全権監督
なぜ原監督に限ってのみこんなとんでもないことが許されるのだろうか。それこ
そまさに、GM兼任の「全権監督」だからに他ならない。試合での選手起用や采
配のみならず、FA選手の獲得やトレードなども好き勝手にすることが許される
存在だ。さらに、監督を誰にするのかといった、それこそ自分自身の人事権まで
も持っているということだ。確かに、ここまで9度リーグ優勝及び日本一3回と
いう輝かしい実績を残してきた原監督の功績は称賛に値する。しかし、今シーズ
ンはといえば――。いまさら言うまでもなかろう。ある意味、すべて裏目に出て
しまったといっても過言ではなかろう。もちろん、すべては「全権」を掌握した
監督の責任となってしまうのは致し方あるまい。そして、その監督の人事権まで
も掌握している現実。監督続投は自明の理だったのだ。