20日、甲子園球場で行われた阪神対巨人の一戦は2対1で巨人が勝利した。こ
の試合で巨人の原監督が七回裏の阪神の攻撃で、打席途中に投手を交代する「奇
策」を繰り出し、交代のタイミングを巡って審判と状況を確認する一幕があっ
た。
巨人1点リードの七回裏の守り、2死一塁で高梨が近本に死球を与えた。ここ
で、巨人ベンチから桑田コーチが出てマウンドへ向かう。一声かけた後でベンチ
へ戻り、高梨は続投となった。そして、打席には中野の代打・北條が送られた。
高梨がカウント2-2と追い込んだところで、原監督がベンチを出て審判に何か
を確認するようなそぶりを見せた。球場が一時騒然となる中、審判が集まって協
議後、再び原監督がベンチを出て投手の交代を告げた。試合後、一連のやり取り
を丹波二塁塁審が説明した。投手コーチがマウンドに行った場合、同一打者の時
はピッチャーは代えられないことから、「最初マウンドに桑田コーチが行ったの
が打者・北條の時と思って、最初(交代は)断ったんです」とのことだ。だが、
その後桑田コーチが1度目のマウンドに行ったのは代打北條が告げられる前の、
中野の段階だったと審判同士で確認があった。「実際は打者・中野の状態の時に
桑田コーチが(マウンドに)行っているんで。その場合は代打で(打者が)代わ
っているんで、同一打者に当たらないんで、代えられるんですね。」として、交
代を認めたという。結局、交代した鍵谷は1球で北條を空振り三振に仕留めてピ
ンチを脱した。原監督は「鍵谷がよく抑えてくれたということですね」と語り、
審判にはシチュエーションを確認したのか問われると、「そうですね。まあ問題
はないと思いますね」と語るにとどめた。打席途中での継投は昨季も9月7日の
場所も同じ甲子園球場の阪神戦などでもみせた「“奇策」だ。甲子園では昨季、
野手の増田を登板させるなど、大胆な采配、奇策が目立った。
なお、公認野球規則5・10によれば、監督・コーチがマウンドに行ける回数
で、(3)監督またはコーチは、そのときの打者が打撃を続けている限り、再び
その投手のもとへ行くことはできない。(4)攻撃側がその打者に代打者を出し
た場合には、監督またはコーチは再びその投手のもとへ行ってもよいが、その投
手は試合から退かなければならない。