巨人の小林誠司捕手が5月2日の東京ドームで行われたセ・パ交流戦の対西武戦
から2軍から1軍に昇格して合流している。捕手を4人体制とした原監督の真意
は現状では定かではないが、ジャイアンツの同僚はトレード放出の下準備ではな
いのかと受け止める向きもあり、小林に別れを告げるまでの事態となっていると
のことだ。
前夜に3失点で抑えに失敗したクローザーのデラロサが2日、試合前の公示で2
軍に降格となった。その理由は「左脚の違和感」と発表されたが、こういった場
合に代わりに1軍に呼ばれるのは大概の場合は降格となった選手と同様のポジシ
ョンの選手になることがほとんどであり、おそらく救援投手になるであろうと思
われていたのであるが、それが全体練習に姿もなかった小林だったことでその衝
撃は周囲には大きいものとしてとらえられることとなった。去る4月に小林が2
軍に降格する際に、元木ヘッドコーチは「バッティングがもっとよくなってこな
いと」と話していた。現在、まだ2軍でも61打数7安打の打率.115でしか
なく、どう考えてみても「バッティングがよくなった」とは言い難いのではある
のだが、実は今回の昇格は「交流戦の開始前から計画されたものだ」と球団関係
者が明かしている。パ・リーグの球団に1軍レベルでのチェック機会を提供し
て、交換トレードに持ち込むのが狙いだということだ。5月の初旬の段階では、
巨人の球団幹部は3軍制を回すには現状の捕手9人がギリギリとして今季中の小
林のトレードによる放出を否定していたものだが、その後になって投手陣の故障
者が続出となり何としても計算ができる投手が欲しい状況に落ちってしまった。
今のところ首位の阪神の勢いが衰えないことに原監督も危機感を強めており、方
針転換に至ったとみられている。その移籍先の候補としては、正捕手確立に悩む
楽天、巨人の2軍施設にプロスカウトが足繁く通う日本ハム、主戦捕手の田村が
離脱中のロッテあたりとなりそうで、その行方は相手の交換要員で提示される投
手次第となる。小林はこの日、鎌ケ谷で行われたイースタン・リーグの日本ハム
戦で遠征の2軍本隊には帯同せず、川崎市のジャイアンツ球場で3軍の練習参加
中に昇格が伝えられた。急遽東京ドームに駆けつけた小林だったが、1点を争う
緊迫した試合展開では出番はなかった。商談相手へのお披露目のために1軍に選
手を昇格させることなどあまり考えられることではないのかもしれないが、原監
督の真意が読めないこの状況の下、今の巨人の内部事情も絡んでこの小林のパ・
リーグへのトレードがますます現実味を帯びてくることとなっている。