ゴールデンウイークの5連休初日の5月1日、鉄道や空の便は下りの予約率がピ
ークとなった。ただ、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が3度目
となるのを受けて、首都圏や関西圏を中心にゴールデンウイーク中の帰省自粛が
呼びかけられている。この1年は長期休暇のたびに同様の要請が続いており、帰
省を控える人もいれば、家庭の事情でやむを得ず故郷に戻る人もいる。いずれを
選ぶにしても、いまひとつ気持ちが晴れぬすっきりとしない5連休が始まった。
田村憲久厚生労働相は4月30日の会見で、「不要不急の外出や県境をまたぐ移
動を避け、家の中で過ごすようお願いしたい。宣言を出しても十分に効果がなけ
れば大変なことになる」と危機感をあらわにして語りかけた。国は感染拡大地域
との往来は自粛し、オンライン帰省の活用を呼び掛けている。こうした要請はこ
の1年、何度となく繰り返されてきたものだ。昨年のゴールデンウイーク中は、
全都道府県が1度目の緊急事態宣言の下でのものであった。「ステイホーム」が
強調され、帰省どころか公園で遊ぶ親子連れにも周囲からの厳しい視線が向けら
れることもあった。昨年7月下旬には観光支援事業「GoToトラベル」が始ま
ったが、東京都発着は当初は対象外とされた。夏休み期間は「第2波」とも重な
り、小池百合子東京都知事は感染拡大を押さえ込むための「特別な夏」として、
東京都民に旅行や帰省を控えるように訴えた。年末にかけては全国で再び感染が
急拡大する「第3波」に突入し、昨年12月下旬に「GoToトラベル」が全国
で停止されることとなった。再び全国的に「自粛ムード」となり、今年1月上旬
には東京都など首都圏の1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令され、その後、
大阪府など関西圏の3府県などが追加された。大型連休のたびに感染拡大の波に
襲われる中、「自粛疲れ」も指摘される。JR東海によると、1日の東海道新幹
線「のぞみ」下りの始発~午前10時の自由席乗車率は、新大阪駅発車時点で6
0~70%で、ホームの人影はまばらだった。