天皇陛下のご即位から、5月1日で2年を迎えた。代替わり儀式を終え、令和の
時代の天皇、皇后両陛下のご活動が昨年から本格化するはずだったが、新型コロ
ナウイルス感染拡大の影響の中で海外及び地方の訪問や行事が相次いで見合わせ
となった。これまで宮内庁は、皇室と国民の接点を模索する中においてオンライ
ンの活用を進めてきた。時代の要請に応じた新たなご活動の形が見えつつある一
方、さらなる進化も求められてきている状況だ。
進化と限界
手を握り、目線を合わせて。新型コロナウイルス感染拡大の影響でこうした従来
のような触れ合いが制限されてきている中で、画面越しの交流が今、両陛下と国
民を直接つなぐ手段となっている。このきっかけは、昨年8月陛下のライフワー
クである「水」問題に関するウェブ上の国際会議を両陛下で聴講されたことだっ
た。「人と人とのつながりを肌で感じることができました」。陛下は最初の手応
えについて、今年2月の誕生日会見でそう明かされている。宮内庁はその後、オ
ンラインでの交流の可能性を模索してきた。実践を重ね、両陛下が強く思いを寄
せられてきた東日本大震災後10年となる今年の東北3県の被災者との交流も実
現した。懇談中、被災者らが感極まる場面もあり、宮内庁幹部は、「両陛下も心
が通い合う瞬間を感じられたのではないか」と語った。一方でその限界も見えて
きている。通常の地方訪問では被災現場で黙祷をささげたり、沿道で歓迎に応え
たりといった両陛下のお姿を、広く国民が目にすることができる。だが、閉鎖的
なオンラインでは場面の共有は懇談の当事者に限られることとなってしまう。オ
ンラインは代替手段であると宮内庁幹部は話すが、新型コロナウイルス感染拡大
の影響が長期化する中、「両陛下のお気持ちやお姿を国民に広く伝える場面を増
やしてはどうか」との声も上がってきている。宮内庁は新たな試みとして、今月
30日に島根で行われる「全国植樹祭」で、陛下のお言葉や植樹の場面を東京か
ら現地にライブ配信することを検討している。ライブはこれまで少人数の懇談な
どに限られていたが、より多くの人と「場」を共有できることになる。通信環境
などの課題もあるが、関係者は「実現すれば、新型コロナウイルス感染拡大のも
とでのご活動の可能性が広がる」と期待を込めて語った。
ではあるが、オンラインであっても両陛下のマスク姿を拝見するのは痛々しい。
両陛下のマスク無しのお姿をみることができるようになるのはいつのことであろ
うか。