
マンションというものには大規模修繕がつきものである。
普通は12年ごとが一般的なのであるが、最長で18年ごとですませられる修繕
サービスが普及し始めている。もちろん安全面においてはその品質が第一なので
はあるが、回数を減らすことができれば、マンション住民が負担する月々の修繕
積立金の減らしてその負担を軽くすることができる。
そもそも、「マンションの大規模修繕」とは何なのか。
実際にマンション、特に分譲マンションに住んでいる方には当たり前の知識なの
であるが、一軒家に住んでいる方や、または賃貸マンションに住んでいる方には
なじみが薄いかもしれない。
どんな建造物であっても年月が経過するにつれて、さまざまな箇所に劣化が見ら
れるようになってくる。
マンションであってもそれは例外ではなく、時期を見て適切なメンテナンスを行
わなければ劣化が進む一方となってしまう。
具体的に言えば、まずは外観。
新築のマンションはとてもきれいに仕上がっているが、時間がたつにつれ見た目
の美しさが失われていき、ヒビなどが入ることによって安全面でも問題が出てく
ることとなる。安心して生活ができなくなってくることに加えて、マンションそ
のものの資産価値の低下にもつながってくる。すなわち定期的な修繕が必要不可
欠となる。
ここで大規模修繕が必要となってくるわけだ。
一戸建ての家などの場合では家主の考えやその時々における都合に合わせて修繕
時期を決めることができるが、たくさんの世帯が共同で暮らすマンションではそ
ういうわけにはいかない。
マンションの場合、劣化したところを劣化が明るみに出た時点でその都度修繕を
行っていくよりも、長年にわたって修繕費用をためていき、劣化が起きた箇所を
まとめて一気に行う方が手間もかからず、何よりも費用の面で合理的と言えるの
だ。
では実際にどんなことをするのかと言うと、
大規模修繕においての対象になる箇所個所としてはまずは外壁、屋上、ベラン
ダ、バルコニー、また給排水管といった共用部分が代表的だ。
さらに、劣化した箇所を修繕するだけではなく、大規模修繕のタイミングに合わ
せて共用部分の廊下をバリアフリーにする、宅配ボックスを設置する、インター
ホンをモニター付きのタイプに交換するなど、マンションの居住環境のグレード
アップを行うこともある。
しかし、問題なのはその費用である。
もちろん、大規模修繕の工事費用は、建物の規模や工事内容などによって異なっ
たものになってくる。
よって一概には言えないものなのだが、およその目安としてそのマンションの総
住戸数が100戸程度であれば最低数千万円は必要であり、前述のようにその内
容によっては1億円ほどを見ておく必要がある。
さて、どこからその費用を捻出するのか
マンションを分譲で購入すると、毎月の住宅ローンの返済のほかに、管理費や修
繕積立金が必要となってくる。この中で、大規模修繕の費用として積み立てられ
ていくのが修繕積立金である。
この修繕積立金は、次の大規模修繕に備えて積み立てていくものだ。金額は各
住戸の専有面積に応じて決められるのが一般的で、広い部屋の居住者の方がより
多くの修繕積立金を負担することになっている。
だいたいのマンションではその大規模修繕に向けて、普段の理事会のほかに何度
か臨時の大規模修繕に向けての会合を持つのが一般的である。
しかし、ほとんどは協議は紛糾することが多い。
そもそも理事に選出される人たちも居住者の間で輪番制で順番が回ってきただけ
であることがほとんどであり、いってみればこういったことに対しては素人同然
だ。
そこでマンションの管理会社の役割が大きいものとなるのであるが、何よりも動
く金額が桁外れに大きい。
それぞれの家庭での経済状況もまちまちであるし、そのときの都合もあるだろ
う。
それだけに大規模修繕を行うサイクルが長くできるサービスは非常に便利なもの
と言えるのである。