今シーズンのMLBでは名門ヤンキースが苦戦を強いられている。13日(日本時
間14日)のフィリーズ戦に0対7で完敗し、今季成績は33勝32敗になっ
た。14日(日本時間15日)時点でア・リーグ東地区4位に沈み、首位レイズ
とのゲーム差は9.0に広がっている。地元放送局「SNY」は、低迷の原因はブ
ライアン・キャッシュマンGMにあるとしている。
投手補強の失敗
「SNY」は「ヤンキースの2021年の失敗がアーロン・ブーン監督ではなくブライ
アン・キャッシュマンにある理由」との見出しで特集を組んだ。現状から抜け出
す方法が、「今のところ見当たらないように思えることが一番困ったことだ」と
して、「キャッシュマンGMが不振の原因だという明らかな理由がある」と断じ
ている。キャッシュマンGMの失敗例として挙げているのが、「ローテーション
の強化」だ。ジェームズ・パクストン、田中将大、JA・ハップがFAでチームを去
った他、ルイス・セベリーノはトミー・ジョン手術からのリハビリの途上であ
り、ローテーションに「何かしら手を加える必要があった」としている。その中
でも「最も簡単な動き」としているのが田中将大との再契約だった。記事は、
「ピンストライプのためにすべてを与えてきた」と2014年から7年間在籍し
ていた田中を評価した上で、「ポストシーズンでのキャリアは明白で、一貫性に
欠けたときがあったとはいえ、長年ヤンキースの頼れる男だった。しかし、キャ
ッシュマンは彼が日本でプレーするために帰るのを許してしまった。」とこの日
本人右腕の退団を改めて惜しんでいる。ヤンキースはFAでコーリー・クルーバー
投手、トレードでジェームソン・タイヨン投手を獲得するという「リスクを取っ
た」ともしている。両投手ともに「ハイリスク・ハイリターン」であり、「2人
はヤンキースが求めていた結果を出していない」と手厳しい。ヤンキースはエー
ス右腕ゲリット・コール投手に続く堅実な先発投手を必要としていたが、キャッ
シュマンはその代わりに「大きなギャンブルに出た」としている。クルーバーは
5月19日(日本時間20日)のレンジャーズ戦でノーヒットノーランを達成す
るも、その後右肩甲骨下筋の肉離れで負傷者リスト(IL)入りしている。ここま
での成績は10試合登板で4勝3敗、防御率3.04と物足りない。タイヨンに
至っては12試合登板で1勝4敗、防御率5.74と低迷している。
投手陣のほかにも、「本塁打頼りの攻撃陣を構成」したこと、「二塁が向いてい
たグレイバー・トーレスを遊撃手として起用し、2019年オフにディディ・グ
レゴリアス内野手がFAで出ていくのを止められなかった」こと、「過去の大型契
約が足かせになっていること」などをキャッシュマンの責任の例として挙げてい
る。