
大谷翔平の活躍が止まらない。どこまですごくなっていくのか。想像すらつかな
くなってきている。
その一方で、大谷が凄すぎるがためにこんな声が聞こえてくることも事実だ。
「大谷の活躍を誇りに思うが、こんなにフル稼働を続けていて彼の体は大丈夫な
のか?」 「今は元気そうだから今年は大丈夫かもしれないけれど、彼の長い野
球人生を考えれば、あの試合で『三刀流』までする必要があったのか? 限りあ
る野球人生を削っているのではないか?」 と。
まったくそのとおりである。調子がいいから、今は大丈夫だからといって、連日
のように投げてきた中継ぎ投手が短命に終わった例は過去には星の数ほどあっ
た。大谷の体は大丈夫なのか。実はこんなやりとりは、記者会見の場ではジョ
ー・マドン監督、そして大谷翔平との間にも既に今季何度かあったものだ。
監督の意見は
実は指揮官は4月末の時点でこんな発言をしていた。「彼はほとんどの時間を
DHで過ごしている。だから休息は与えられていると思う。今は心配していな
い。我々は日々ショウヘイと会話をしている。彼は準備が出来ていて感覚がいい
と伝えてくれている。彼はとても正直。休みが必要ならば伝えてくれるだろう。
状態が良ければ出場させ、休養が必要なら与える。至ってシンプル。これからも
彼の声を聞いていく」。
大谷自身はどうか
一方の大谷はゴールデンウイーク明けにこう言っていた。「まずは自分が出られ
るかどうか。監督が使いたいと思わないと使ってもらえないので。本当に1試合
1試合、明日も出したいと思われるように結果を出せればいいかなと思っていま
す。その積み重ねで最終的にどれぐらい出られるか分からないですけど、やって
みたいなと思います」 続けて、自身の体の状態についても説明した。「こんなに
続けて出たことはもちろんないですけど、思っていたよりはそんなに疲れてはい
ないです。もちろん疲れているなと思う日もあったりしますけど、1日のトータ
ルでどれくらい動いたかを計算しながら、今日は(ペースを)落としといた方がい
いとか。(選手の)心理的には数を振りたいし、振って振って、そのゲームに臨み
たいところではないかと思いますけど、そこを我慢しながら、トータルで見た時
に良い結果が残せるようにやりたいなと思います」。
試合出場とその前後の練習量を考慮に入れて、自分自身で全体的な運動量を判断
していく。過去に前例のない選手の新たなる挑戦であるからこそ周囲の関係者た
ちの持つ過去のデータはほとんどないといっていい。そのあたりのことも大谷は
充分に自覚していた。
ただ、やはり心配の種はある。野球選手というものは常に投げたい、打ちたい、
試合に出たいと思うものだ。期待が大きい分、その背負うものも大きい。大谷は
自分自身で出場にストップをかける強さを持ち合わせているのかどうか。彼はそ
の点でも自覚していた。 「それはしなければいけないです。監督が使いたい試合
や相手もあると思う。もちろん自分の体調もそうですけど、考える必要はあるの
かなと思います」。
新たなる野球の可能性、価値観を生み出すためにも、コンディショニングには細
心の注意を払い続けて欲しい。健康さえ保たれれば、彼の異次元の活躍は限りな
い未来をもたらすと言える。