17日、今夏に延期された東京オリンピックについて政府は「再延期はない」と
し、予定通りの開催を目指す考えを重ねて示した。新型コロナウイルス感染対策
に万全を期すことで「開催できる環境をつくることができる」と強調した。
また、これに関して加藤勝信官房長官は記者会見で、国際オリンピック委員会
(IOC)が既に開催期間を決定済みであるとの指摘をした上での発言として、
「大会関係者が一丸となって準備に取り組んでいる。政府も連携しながら対応し
ている」と述べた。
しかし、他方では東京オリンピックの開催を危ぶむ声が東京都庁内で強まりつつ
ある。オリンピック開幕が2カ月余りに迫る中、3度目の緊急事態宣言が発令さ
れても、新型コロナウイルスの新規感染者は増加傾向のまま。変異ウイルスが広
まり、感染が減少に転じる要素も見当たらない。小池百合子都知事は「安心安全
な大会開催に向け全力で尽くす」と繰り返すが、都幹部からは「知事なら中止を
言い出しかねない」との声も聞かれる。
13日、東京都モニタリング会議の事前打ち合わせで、小池都知事は右肩上がり
のグラフを示す感染者推移にいら立ちを隠さなかった。前回の宣言が2カ月半続
いたことから、今回は大型商業施設に休業要請するなど「短期集中」の態勢で臨
んだはずだった。しかし、感染は収まらず、宣言は5月末まで延長。都幹部は
「連休の人出減少で辛うじて年末年始のような急増にはなってない」としつつ、
「感染拡大が今後も続けばオリンピック開催は難しい」と認める。
そんな中で、ささやかれているのが東京都議員選挙(6月25日告示、7月4日
投開票)に向けて、小池都知事が顧問を務める「都民ファーストの会」の公約で
東京オリンピック開催中止を打ち出すのではないのかといった憶測だ。小池都知
事の国政復帰論も相まって、まことしやかに広まっている。「都民ファーストの
会」幹部は、「中止を公約にする話はない」と否定しつつも、「都知事が決断す
れば従わざるを得ない」と明かす。東京都議員の一人も「知事の頭の中には、東
京オリンピック開催中止の想定もあるはずだ」とみている。
これに対して、小池都知事は14日の定例会見で「政局絡みで語られるのはいか
がと思う」と不快感をあらわにしてみせた。ただ、オリンピック開催の是非の最
終判断をすべき時期は近づいている。「5月末までの宣言が再び延長されること
になれば、オリンピック開催は厳しくなる」との周囲の声も上がる中で、「世論
や関係者の動向も見続けた上で、都知事自身が決断するのだろう」とのことだ。