新型コロナウイルス感染が収束しない中で、東京オリンピック開催へと突き進む
東京オリンピック大会組織委員会であるが、ここにきて致命的な準備不足も露見
してきている。そのひとつが選手村や競技場でコロナ陽性者が発生した場合のル
ール作りだ。
まだルールができていない
言い切ってしまえばもしもの備えはできていないのが現実だと言えるのだ。例え
ば、チームのスタッフのうちの1人がコロナに感染したとして、選手が濃厚接触
者に指定されて、試合までに検査結果が出なかった場合はどう扱うのか。棄権扱
いになるのか。こういった事例が決勝で起こった場合、不戦勝として「繰り上げ
金メダル」になるのかどうか。個人と団体の両方に出場する選手がいる競技の場
合(卓球やバドミントンなど)で、選手1人が陽性となったときにそのペアを組
んでいた選手の検査結果が間に合わない場合、個人戦も棄権となるのかどうか。
行ってしまえば不測の事態を想定すればキリがないのだ。6月1日にはサッカー
の国際親善試合でジャマイカ代表がPCR検査の陰性証明の不備で来日できなかっ
た件があったばかりだ。先月22日にはスケートボードの東京オリンピック予選
大会で日本代表スタッフの陽性が判明した。PCR検査を受けたものの、結果が間
に合わず、女子選手7人全員が棄権する事態に追い込まれた。まさかの事態は東
京オリンピックの本番中でも必ず起こるものだ。その「まさか」に備えるのが大
会組織委員会の「大事な」仕事のうちのひとつのはずなのだが、これに関して大
会組織委員会は、「(試合内容に関する)レギュレーションについては現在検討
中です」とのことだ。つまり、まだできていないのだ。「プレーブック第2版」
には検査の手順や隔離措置については記されているが、試合内容に関するマニュ
アルの記載はなしだ。当然各競技団体へのアナウンスはなく、全日本柔道連盟は
「JOC(日本オリンピック委員会)を通じてプレーブック第2版の説明は受けて
いますが、それ以上の情報はございません。」とのこと。競技によってルールや
試合の進み方もそれぞれ。開幕まであともう2か月もない。細かい規則を定め、
選手へ周知するにはあまりにも時間がないのが現状なのだ。