
今年の夏に開催される東京オリンピックの開会式で、その開会式の責任者が開会
式の出演予定者であった渡辺直美をブタとして演じさせるといったプランを提案
して、それに関して周囲の関係者から批判を受けて撤回に追い込まれていたとい
うことがわかった。
このプランを提案したのは、開会式の演出を指揮する「総合統括」である佐々木
宏氏。電通出身のCMクリエイターであり、これまで缶コーヒーBOSSの「宇
宙人ジョーンズ」シリーズやソフトバンクの「白戸家」シリーズなど、生み出し
てきたヒット作は数多い。
もともと東京オリンピックの開会式、閉会式に関してはその演出は、能楽師の野
村萬斎氏を総合統括として、佐々木宏氏その他の演出企画チームが演出を担う予
定だったもの。
ところが、大会組織委員会は昨年の12月23日になって、オリンピック大会運
営の見直しに伴って演出チームを解散し、新たに佐々木宏氏を総合統括に起用す
ることを発表していた。
東京オリンピックに関しては、まだ記憶に新しい森喜朗氏の女性蔑視発言が世間
からの猛批判を浴びることとなり、森氏は組織委員会の会長を辞任した。
その後、後任に就任した橋本聖子氏は、ネガティブイメージを払拭すべく女性登
用などに取り組んでいる最中である。
こんな状況の中で、オリンピック最大のイベントともいえるであろう開会式の舞
台で日本がどのようなメッセージを世界に向けて発信していくのかを世界中が注
視していたはずだ。それだけに、この開会式の責任者が女性の出演者を差別的に
扱う演出プランを提案していた事実は大きな論議を呼ぶことは必至だ。
はっきりと言ってしまえば、オリンピックの開会式ともなればそのオリンピック
の内容そのものを方向付ける式典と言っても過言ではなく、世界中の人々が視聴
する中で、このような差別的な発想をする人間が総合的な演出を担当するという
ことは日本人としてなんとも恥ずべき事態になったものであると言えるのだ。