12日、京セラドーム大阪で行われたセ・パ交流戦オリックス対広島戦はオリッ
クスが3対2で広島を下し、今年の交流戦の優勝を決めた。これでオリックス
は、2010年以来11年ぶりとなる2度目の交流戦優勝となった。
オリックスは交流戦全17試合で同一オーダーを組んだことはない。オリックス
の中嶋監督は、常々「全員が戦力なので。より良い状態を見極めて。ベストな状
態を探していく。」と話しており、スタメン表は一部が日々変化してきている。
救援陣も固定化しない「日替わり継投」で豊富なバリエーションを披露してき
た。守護神には今季メジャーから古巣に4年ぶり復帰した平野が君臨している。
救援陣は、能見投手兼任コーチを筆頭に、ヒギンス、富山、K-鈴木、山田、村
西、漆原、比嘉、沢田らでリレーをつないできた。 先発陣も充実している。山本
は交流戦3試合に先発して3勝。高卒2年目左腕の19歳の宮城も2勝と続き、
山岡、田嶋、山崎福、増井も1勝ずつと役割を果たしてきた。 中嶋監督はNPB
最長となる1軍実働29年の捕手出身監督だ。就任当時からの「対話重視」は変
わらない。「ラオウ」こと杉本は状態が上がらず悩んだ時期に、「(監督に)年
間を通してずっと良い状態が続くわけがない。誰でも絶対、疲れてきたり感覚が
おかしくなるときがある。」と言われ、心が楽になったと語る。「調子が良いと
きは、そっとしてくれて。悪くなったときに、僕が言って欲しいことをいつも言
ってくれる。精神面も打撃面の技術も。いつも、本当にありがたいです。」と感
謝の気持ちを忘れない。 中嶋監督は試合前練習でも動き回る。外野グラウンド
で練習する投手陣と談笑すると、ノックを受ける外野手や打撃マシンでバント練
習する選手たちに積極的に声かけをする。19歳遊撃手の紅林が、「監督のため
に恩返しがしたい」と話すようにこのささやき効果は抜群の威力を発揮してい
る。試合中のベンチでは自軍の得点に歓喜し、両拳を突き上げたかと思えば、冷
静にペンを持ってメモを取る姿を見て、選手たちは奮起する。 これで引き分けを
挟み、今季初の5連勝、貯金を2とした。交流戦優勝を自信に、ペナントレース
でも1996年以来となる25年ぶり悲願の優勝へを突き進む。
昨年、オリックスはパ・リーグ最下位に終わっており、今季の交流戦前までは1
8勝22敗7分けの勝率4割5分の成績。前年度のリーグ最下位球団が交流戦で
優勝するのは2009年ソフトバンク、2010年オリックス、2018年ヤク
ルトに次いで4度目となり、交流戦開始前の勝率は、2018年ヤクルトの3割
9分5厘、2010年オリックスの4割2分1厘に次いで低いものであった。オ
リックスは2度の優勝とも前年最下位からのもので、交流戦開始前に負け越して
いる状況からの優勝となっている。