
2日、京セラドーム大阪にて行われたオリックス対ソフトバンク戦で、オリック
スの能見篤史投手(実際は投手兼任コーチ)が1点差で迎えた9回を抑え、阪神
から移籍後の初セーブをあげた。41歳でのセーブはオリックス球団最年長記録
となった。なお、試合は5対4でオリックスの勝利。
鉄仮面と呼ばれた男が珍しく大きなガッツポーズを決めた。最後のバッターを打
ち取り、キャッチャー伏見とのハイタッチで、思わずその表情が緩んだ。
試合後、能見は「9回は僕も(たくさん)経験しているわけではない。腹をくく
って(いった)」と話した。阪神時代を含めて通算実働17年で計3セーブ。先
発、救援で活躍したが本格的なクローザーとしての経験は今まではなかった。ベ
テラン左腕は、「場面はどんなところでも。良い働きができたら」と熟練の技を
駆使。同じ球種でも、球速や力感、腕の振りを変えて幻惑した。本来縦振りの腕
が、サイドスロー気味の横振り投球でリリースポイントを下げるときもある。そ
の投げっぷりは昨年オフに戦力外を受けた男には全く見えないものであった。
「僕以外は全員、伸びしろのある選手ばかり。僕は、もうあれですけど」と笑っ
たが、探求心は旺盛だ。ある時、19歳の紅林に「パ・リーグの打者はスイング
が違うよね。まず、どこに目つけをしているの?インコース?」と質問。多くの
取材とマウンドで得た答えは「(パ・リーグの打者は)しっかり振ってくる。捉
える率が高い」ということ。対策を練り、日々の結果につなげている。
中嶋監督は、「ここは一発、能見でいこうかなと。平野、ヒギンスが帰ってくる
までは能見かもしれません」と守護神の代役に指名した。能見は球団最年長セー
ブに「(僕では)夢がないですねぇ」と若手台頭を願った。今月で42歳。オジ
サンはまだまだ第一線で輝きを放ち続ける。
なお、能見は41歳11カ月での今季の初セーブとなった。セーブの最年長記録
は2014年7月11日、楽天の斎藤の44歳4カ月だが、オリックスでは20
07年7月7日の吉田の40歳7カ月を抜く球団最年長セーブとなった。能見は
阪神時代の昨年11月11日に41歳5カ月でのセーブを記録しており、40代
になってから2球団でセーブを挙げたのは史上初めての記録となった。