先の記事で
「なぜセ・リーグはパ・リーグに勝つことができないのか」
と考えてみたのだが
そもそも
「セ・リーグとパ・リーグは何が違うのか」
そう、その実態について
という方向からも考えてみることにする。
ある程度、重なった内容になるのは致し方ないとご容赦いただきたい。
セ・リーグとパ・リーグの普段の試合を見ていて気づくこと。
たくさんあるが
パッと見てまずわかることと言えば、パ・リーグの選手たちの体の大きさだ。
単純に大きいだけ、といわけでもない。
ユニフォームの上からも想像できるぐらいに
いわゆるからだがゴツイ。
まあ、あれだけのパワフルな力の野球をやっていこうと思ったら
そうならないとつとまらない。
とにかく球場も広いところが多い。
プロ野球界の12球団の本拠地球場を比べてみると
狭い方から数えて3つまでがセ・リーグの球場。
パ・リーグの広い球場だったら
ピッチャーもどんどん攻めていくことができるだろうし
それを打ち返すバッターもブンブン振ってくるだろう。
この違いは大きい。
誰もが認めることであろう、パ・リーグの「力の野球」。
その大きな要因のひとつとして挙げられるのがDH制度。
ピッチャーの打席が無い分、打線に切れ目と言うものが無くなってしまうから
投げる方は大変だ。
ただ、打席が無い分、打つことの方は考えなくても済むので
投球に専念できるというメリットはある。
投手を交代させようかと言うとき、
首脳陣も投手の打席が巡ってくることの兼ね合いを考えなくても済むので
戦術を考える要素が減る。
また、確かにピッチャーは投げるのが大変にはなったが
投げる相手が全部野手だということだとどうなるか。
投手同士だったらやっぱり厳しいコースなどが攻めづらいこともあっただろうが
(言っておくが、別に相手に対して気遣いをしているという意味ではない。
当たり前のことを言うが、勝負だから。)
野手にだったらどんどん攻めていける。
ここで、DH制だとそこの打席に強打者をはめ込んでおけるので良い、
といった簡単なメリットだけではないことも大きい。
まず思いつくのが、今言ったいわゆる「強打者」といわれる選手の
ポジションが重なってしまうときのこと。
DH制が無いと片方の選手はスタメンからはずさざるをえなくなり
結局代打要員の扱いになることが多くなってしまう。
また、どうしてもその打者を両方とも、または3人以上いたらそのすべてを
スタメンから使いたいとなったら
片方の選手には不慣れな守備位置についてもらうことしかできなくなる。
これは結構リスクが大きい。
攻撃を重視するあまり、守備がザル状態、などということにも
なりかねないからだ。
さらに、守備力のことでもう少し付け加えるならば、
たとえば長年活躍してきたのだが
ベテラン、といわれる域に差し掛かってきて
打撃力は円熟味を増し充実期に入ってきているのだが
守備力に関してはやはり年齢による衰えには勝てない、といった選手たちを
この「DH」に当てはめることができるのは
チームにとてつもない大きな効果をもたらすことになる。
セ・リーグでもこのDH制といった話題が何度も出てくるのだが
もう一つ盛り上がりに欠けるといった気がしないでもない。
大リーグでも
ア・リーグとナ・リーグでは長年DH制の採用、不採用の差を
設けてきたが、それを意識している?
あの野村さんはいつも、野球は9人でやるもの、と言っておられた。
確かにその通りだとはいえるのだが、
セ・リーグとパ・リーグの差がここまで広がってしまった現状を考えるに
もっとこの話題が盛り上がってもいいのではないか。
後、組織の総合力の高いこと。
まず、球団の経営について。
セ・リーグの球団経営はおおむね巨人のそれを見習ったものとなっている。
会社の本業の宣伝の一つとしての球団の存在がある、
反対から見ると、球団は会社の宣伝における大きな存在価値を
持っているということ。
それに対して、
パ・リーグは球団の経営そのものがビジネスになっていると言えるだろう。
その代表がいわずもがな、ソフトバンク。
その豊富な資金をチームを強化することにおしげもなく投資、
チームが強くなればなるほど収益が増加、
その収益を再びチームに投資。
まさに、典型的な好循環だ。
それに比べると巨人は現場への依存度が高いように思える。
その資金を投資するといった点から見ても
ソフトバンクは選手を育てるといった要素が大きいが、
巨人の場合はFA等を通じての選手の獲得といったイメージが大きい。
巨人も若い選手たちがどんどん出てきているのだけれども
まだまだソフトバンクの比ではない。
球団としての強さ、
これだけを見てもセ・リーグとパ・リーグの力の差を
感じさせられずにはいられない。
また、先ほどからの流れとして
セ・リーグは巨人への依存度が高いということも分かってもらえただろうが
同時に他の5球団の巨人への対抗意識もかなり高いものがある。
パ・リーグのソフトバンクに対するそのこと以上のものがそこにはある。
それが結局内向きになってしまっているという
悪循環になってはいないだろうか。
大阪に目を向けてみれば
よく知られていることだが大阪という街は、
「キタ」と「ミナミ」に大きく分けて語られることが多い。
決して「北」と「南」ではない。
方角ではなくて、エリアである。
実は阪神タイガースの本拠地、甲子園球場は
大阪にあるのではなくお隣りの兵庫県にある。
大阪にあるのはオリックスの本拠地、京セラドームだ。
なのに、ほとんどの人は
大阪と言えば、阪神を連想する。
オリックスではないのである。
これはオリックスとしては面白かろうはずもない。
対抗意識がむき出しとなるだろう。
パ・リーグのチームはどこであってもセ・リーグのチームに
似たような感情を抱いているはずだ。
これが力の差につながることもありうるだろう。
もし許されるのなら、大阪の人たちに
阪神タイガースに肩入れしすぎるのも考えもの、と言いたいところである。
まあ、みんな心の底ではわかってはいるんだろうが。
ここまで見てきたように
セ・リーグとパ・リーグ、
表に見えている部分のみならず、表に出て来ない部分でも
相当大きな差があると思われる。
今、セとパにこれだけの力の差があることを見せつけられている状態では
旧態然とした考えに凝り固まる現状から脱却することから
始めていかなければならないと言えるだろう。
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