
レッドソックスがヤンキースを下したワイルドカードに続き、レイズと対戦する
地区シリーズでも澤村拓一投手を出場選手登録から外すと発表した。澤村は、今
シーズンは全55試合に登板し5勝1敗、防御率3.06の成績を残している。
メジャー1年目から存在感を示した澤村をメンバーから外した背景には何があっ
たのか。
近年のポストシーズンの傾向によるもの
レッドソックス内のチーム事情次第とは言えるのだが、近年のポストシーズンで
は早期の投手交代を含め、公式戦とは異なる戦術を用いることが多くなってい
る。レッドソックスからは何ら伝わってきてはいないのであるが、5試合制のポ
ストシーズンでは先発投手を3人で回すことで、いわゆる「ダブル先発」に近い
継投を想定していると思われ、その結果澤村が外れたものと見られる。先発投手
に6回から7回を任せる(そこまで投げてほしいというベンチの思惑もある)公
式戦と違い、ポストシーズンのような短期決戦では3回から4回あたりで継投に
移ることは珍しくない。これには、投げる投手の方も自身の勝ち星などはここで
は特に関係が無いといったことも理由の一つに挙げられる。ここ最近は打順の3
巡目に先発投手の被打率が上昇するといったデータもあって、リードされると惜
しみなく救援陣をつぎ込んでいくのが当たり前のようになってきている。特に今
シーズンのレッドソックスの先発投手陣を見てみると、絶対的なエースが不在と
なっており、左腕セールも故障明けとあって長い回を投げることは期待できそう
もない。レイズとの第1戦で先発ロドリゲスを2回途中であっさりとあきらめ、
後の3番手投手として、レギュラーシーズンの先発陣の一角を担ってきたピベッ
タを起用したように「1試合に先発2人」を注ぎ込む覚悟で複数回の登板が可能
なペレス、リチャーズらの先発経験者を登録した可能性は高いのだ。かつてドジ
ャースに在籍していたころの前田健太が公式戦の終盤になって、ポストシーズン
に備えて救援に配置転換されたことがあったが、このように先発陣を救援として
起用するのは近年の傾向となっている。ただ、ポストシーズンを勝ち抜いた後の
7試合制のリーグ優勝決定戦、ワールドシリーズまで進めば先発4人となる見込
みとなっており、こうなると澤村が登録される可能性もありそうだ。何とかレッ
ドソックスにはそこまで勝ち抜いていってもらいたい。