
日本全国におよそ500ほど存在する国境離島のうちの、少なくとも2つの島が
消失した可能性があるということだ。
どちらも領海の基点となっており、領海範囲に影響する可能性が大きい。
今後も政府は確認作業を進めていくということで、内閣府によると、
領海の範囲に影響する問題であり、確認には慎重を期するもの、としている。
なお、地球温暖化による海面上昇で島が沈むというのは考えにくい、としてい
る。
その2つの島は、どちらも北海道にある面積わずか百数十平方メートルの
「節婦(せっぷ)南小島」と「汐首(しおくび)岬南小島」。
北海道新冠(にいかっぷ)町の約220メートル沖合にある
「節婦(せっぷ)南小島」の方は、2018年にこの地方を襲った北海道地震
による地形の変化によって、海中に沈んだ可能性がある。
また、函館市沖約100メートルにある「汐首(しおくび)岬南小島」の方は、
その対岸の陸地で護岸を築いた際に、同島が組み込まれたものとみられている。
ここで、その国境離島とは
「有人国境離島地域」の中には、本土から遠く離れていて、人口も大きく減少し、これから先も人々が住み続けられるような環境を整えることが、特に必要な地域があります。 これらの地域は、有人国境離島法によって「特定有人国境離島地域」として指定され、地域社会を維持するため、観光振興や地元産品の拡大などに取り組んでいます。
出典:内閣府
国境離島は、領海及び排他的経済水域(EEZ)の基点となる島々のことであ
り、昨年度末の時点では有人であるもの、そして無人となっているものを合わせ
て日本全国に484存在している。政府は海洋権益を確保すること、また国土の
保全を目的として、これらの島々に対して2017年までに国有財産化及び名称
を付与することの手続きを済ませている。これらの島々は、国土地理院が作成す
る地図にも記載されているが、衛星写真などを照合してもその存在が明確に確認
できない島が複数見つかっており、海上保安庁や国土地理院などの関係機関が調
べていたものだ。
なお、ここで領海とは、海岸線から約22キロの範囲内の海域のことをいうも
の。その沿岸国すべての主権が及ぶ範囲とされる。日本の領海の範囲は約43万
平方キロあって、日本の国土の面積(約38万平方キロ)を大きく上回ってい
る。
排他的経済水域(EEZ)とは領海の外側の海岸線から約370キロまでの海域
のことをいうもの。漁業、または天然資源の掘削権などの優先的な権利が認めら
れている範囲である。
また他にも、昨年度末の時点で存在が確認できていない島は、8島存在する。
前述の節婦南小島と汐首岬南小島の2つの島に加えて、同じく北海道の猿払(さ
るふつ)村のオホーツク海上にある「エサンベ鼻北小島」もすでに波や流氷の浸
食で消失の可能性があるとしている。8つの島のうち、上述3島のほかの残る5
島については国土地理院が発行する地図に記載された位置には島はないのである
が、周辺には島影があって、実際の位置とはずれている可能性が高い。今後、海
上保安庁や国土地理院が航空機などを使って現地に赴きその存在を確かめたうえ
で、地図の修正も検討していくとしている。
昨今、日本の周辺諸国の領海侵犯および、領海内での漁業、また違法な海底調査
さらに天然資源の掘削などの諸問題が大きくクローズアップされてきており
この国境離島の消失の問題と言うは、その島々自体は極小であるにもかかわら
ず、その影響力と言うものは計り知れないほど大きなものであり国際的な関係も
含め慎重な対応が求められる。