10日、メジャーリーグへの流出危機の最中にある阪神のクローザー、ロベル
ト・スアレス投手に対して阪神・矢野監督が直接残留要請したと明かした。スア
レスはセ・リーグで2年連続のセーブ王に輝いたタイガースの絶対的守護神。す
でに10日に離日している。昨シーズンオフに2年契約を結んでいるが、2年目
となる来シーズンの選択権はスアレス側が持っており、今シーズン中から複数の
メジャー球団が視察、調査を続けてきていた。契約交渉の行方が注目される中、
昨年に続いて指揮官が動いた格好だ。
矢野監督の熱い思いは伝わるか
「スアちゃん頼むぞ、と言うことだけは。お願いと言うと何だけど。オレらの気
持ちはこうだからなというのは伝えた。」矢野監督は最後に直接、スアレスへ熱
い思いを伝えていたことを明かした。スアレスは、クライマックスシリーズ・フ
ァーストステージで3位巨人に連敗して敗退し、秋季練習の始まった10日に日
本を去った。「本当に(試合の)最後にスアちゃんがいてくれるのは、すごい安
心感。優勝できなかったけど、チームに大きく貢献してくれた投手。いてもらわ
ないと困る。」と矢野監督は語った。今シーズンは不動の守護神として62試合
に登板し、防御率1.16の成績を残した。42セーブを挙げ、阪神としては2
015年の呉昇桓の41セーブを超えて球団助っ人最多のセーブ数だった。2年
連続セーブ王も2014年、2015年の呉昇桓に続き球団2人目の快挙だ。 昨
シーズンオフもメジャー複数球団から熱視線を浴び、一度は保留者名簿から外れ
て流出の危機となっていた。この時も矢野監督が本人にラブコールを送ったこと
もあって、スアレスは残留を決めた。球団側としては、年俸8000万円から2
億6300万円と大幅アップの2年契約で迎えた。しかし、2年目の契約選択権
はスアレス側が持っており現在阪神との交渉が続いている。なお、国内の他球団
への移籍は出来ない条項となっている。今シーズンのスアレスは、球団最速16
3キロで動くクセのある球に140キロを超えるチェンジアップを駆使し、昨シ
ーズンの25セーブからその数を大きく伸ばした。安定感が増したこの投球をシ
ーズン中にメジャー複数球団が視察しており、昨年以上にスアレスを求める球団
が出てきそうな気配だ。メジャー経験のないスアレスに対して、矢野監督は「個
人の夢や決断は尊重しないとダメなんで。あとはスアちゃんが出す決断を受け入
れるだけ。」と同じ野球人として理解も示している。スアレスは普段は物静かで
シャイだと言われているが、今シーズンは優勝争いの最終盤で試合前に円陣で声
だし役も務めるなど、ナインの気持ちをまとめる上で欠かせない存在となってい
た。クライマックスシリーズ敗退後には、「熱い声援をくれたファンのみなさん
には本当に感謝の気持ちでいっぱい」と語っていたが、ファンとしては変わらぬ
阪神タイガース愛を貫いてくれることで来シーズンもタテジマのユニフォームを
見ることができることを祈るばかりだ。