東京都がタレントのカンニング竹山(50)に対して抗議文を送付していたこと
が分かった。これは、先月28日の生放送「アッコにおまかせ!」(TBS系)
の中での竹山の発言に対するもの。行政機関による個人への抗議は言論封殺と取
られかねず、今後波紋を広げる可能性がある。
この竹山の発言は、都の変異株検査数が少ない現状を批判した上で、小池都知事
が出演したユーチューブの広報動画について 「制作に4.7億円かかってるんです
よ。全部じゃないけど、そのうちの一本に4.7億円の税金が使われている」と指
摘した。 数分後、竹山は事実誤認に気付き、「4.7億円は、動画制作費ではな
く、広告費全体の経費でした」と訂正するとともに、「すみません」と謝罪し
た。
この「4.7億円」とは昨年、緊急事態宣言が解除された5月から9月までの間
に東京都が計上した広告費の総額。動画制作費だけではなく、テレビCMの費用
やWEB広告出稿費なども含まれている。感染拡大防止を呼び掛けるため制作し
た動画には、小池都知事自身がユーチューバーのフワちゃんと対談するものもあ
った。
昨年夏、東京都議員の調べで発覚し「こんな広告に億単位の都税をつぎ込んでい
いのか」といった批判が噴出していたもの。広告費に合計4.7億円を費やした
のは事実だとしても、東京都はこの竹山発言に反発。放送の翌29日に、TBS
と竹山の所属事務所「サンミュージック」に発言の訂正を求める抗議文を送った
とされる。
東京都によれば、「動画の制作にかかった費用は計1800万円。4.7億円か
かった事実はない。訂正を求めるため抗議文を送付した」。竹山は番組内で発言
を訂正しているが、「4.7億円という数字が独り歩きしている状況。正しい情
報発信をしてもらうためにも抗議が必要と判断した」ということだ。
TBSは、「出演者の発言に誤りがあると放送中に番組担当者が気付き、番組の
後半で訂正致しました」と回答したが、抗議文が届いた事実については回答しな
かった。
この問題に関しては、確かに行政機関が一個人の発言をとがめるなどの行為はあ
ってはならないことは当然である。自由な言論を制限する事態そのものであり、
今回は、東京都を厳しく批判する竹山の発言を制するような行為は、行政が個人
に圧力をかけているように映ってしまう。
ただし、単なる一個人ではなく大衆に大きな影響力を持つ人間が軽率な発言をす
ることについては慎むべきであることも事実だ。今回のこの件でも、4.7億円
の費用が掛かったと思い込んでいる人はたくさんいることと思われる。一時の感
情、印象だけでそのことに関しての資料、データを鵜呑みにして軽々しく発言、
批判してはいけない。特に数字については細心の注意を払うことは必須である。
今回のこの件は、まだまだ波紋を広げそうな気配である。