交通違反をした人が納める反則金について警察庁は、ATMやネットバンキングに
よる振り込みでも納付できるようにする方針を決定した。現在のシステムでは、
いちいち金融機関の窓口に出向いて現金で納めなければならないものであり、利
便性を高める狙いがある。また、新型コロナウィルス感染拡大の状況を受けての
ものであるともいえる。
警察庁は、道路交通法施行令などの改正案について4月24日から一般の意見を
募ったあとで、6月28日から秋田県、島根県両県警で先行的に実施する予定と
なっており、その後他の地域への拡大を検討していくということだ。数年以内に
は、クレジットカードやコンビニでの支払いなどの導入をめざすということだ。
比較的軽微な交通違反の場合は、反則切符、いわゆる「青切符」を受け、国庫に
入る反則金を納めれば刑事処分を科されない制度となっている。警察庁の集計で
は、車両による違反の取り締まり件数は20199年には約571万件起こって
おり、そのうち96%の約549万件を反則制度で処理した。中でも一時停止や
最高速度、携帯電話使用、通行禁止、信号無視などの違反が多くなっている。納
付率は毎年約98%に達しており、納付額は2019年度で約502億円になっ
ている。違反者は取り締まりを受けた際、警察官から青切符とともに納付書を渡
される。これを金融機関に持参して、現金で納めるのが現在のシステムとなって
いる。納付期限は最初の仮納付で違反の翌日から7日以内と短く、金融機関の窓
口が開いている平日の日中しか対応できないために違反者からは不便といった声
も多い。新たに始まる方法では納付書は使わず、ATMやネットによる振り込みの
手続きの際、名前とともに納付書に記載されている切符番号を入力して各県警の
専用口座へ送る。取り締まりの際に警察官が、振込先の口座番号や注意点を記し
た紙を違反者に渡すということだ。現在は納付手数料はかからないが、振り込み
で生じる手数料は納付者側の負担となるので注意が必要だ。今回の取り組みは、
政府が進める行政手続きのデジタル化の一環。警察庁は今後、電子収納サービス
「ペイジー」やクレジットカード、コンビニ窓口での納付を検討していくという
ことだ。ただし、今後こうした方法の導入には、納付記録と違反記録を照合する
ためのシステムなどを整備する必要がある。すでに、反則金とは別に、駐車違反
をした車の所有者に科す放置違反金では、一部の都府県でコンビニやペイジーに
よる納付ができるようになっている。