JR東日本を含む首都圏の各鉄道事業者は、緊急事態宣言を受けて大型連休にあた
る4月29日から5月9日までの運行本数を削減した。なかでも平日にあたる4
月30日、5月6日、7日は朝のラッシュ時間帯を減便していた。
しかし連休明けとなった5月6日、間引き運転によって主要駅では通勤、通学で
混雑する事態となった。 このような事態を受けて、JR東日本は7日に予定して
いた減便を取りやめると発表。「お客さまのご利用がゴールデンウイーク前の状
況に戻っている」として、平日ダイヤに戻すと決定した。6日朝のラッシュ時間
帯(6時~9時)では、山手線の利用者数は連休前の4月26日とほぼ同じに。
なかには、乗車率が180%に達した路線もあったという。 そもそも各鉄道事業
者が減便したのは、小池百合子東京都知事の要請に基づく対応だ。東京都の報道
発表によると「徹底した人流の抑制や感染リスクが高い施設への適切な対応など
が必要」として、小池都知事が4月23日に国交省と各鉄道事業者に要請してい
た。
「満員電車ゼロ」公約が再燃
「間引き運転」の影響がネットでも注目を集めるなか、小池氏が2016年7月
の東京都知事選挙で掲げていた公約である「満員電車ゼロ」が再燃している。小
池氏は当時、「7つのゼロ」として待機児童や残業、満員電車などを解消すると
の公約を発表した。しかし、そのほとんどは達成されない状況に終わった。
満員電車ゼロについては、ほとんど成果が見られなかった。当時、車両とホーム
を2階建てにする案も出ていたが、現実的でない、とされてこの案は自然消滅し
た。また小池都知事が普段電車に乗らないことから、「満員電車の実情を把握で
きていないのでは」といった指摘もあった。 国交省が2019年に発表した資料
によると、2013年から東京圏31区間の平均混雑率は160%台のまま。確
かに昨年初めて緊急事態宣言が出された際は、4月下旬の都営地下鉄の利用者が
前年と比べて7割減った。しかしテレワークは浸透しておらず、今回の減便対応
で出社せざるを得ない人がたくさんいることも浮き彫りとなってしまった。
かつて「満員電車ゼロ」公約を掲げていた小池都知事に対して、ネットでは厳し
い声が上がっている。「満員電車ゼロという公約が守れていないのに、JRに減便
させて、さらに満員電車にさせる首長に振り回されるなんて、大変だった。」、
「連休明けの満員電車が話題だが、小池都知事は満員電車ゼロを公約にしていな
かったか。間引きで混雑をひどくさせて、公約と真逆なことをやっている。」、
「小池さん、自身が掲げた「満員電車ゼロ」すら達成できてないのに、鉄道会社
に間引きを要請して、逆に激混みさせる愚策。思いつきでなんでも言わない方が
良い」などだ。