
29日(日本時間30日)、ピッツバーグで行われたパイレーツ対カージナルス
の一戦は、パイレーツが4対3でサヨナラ勝ちをおさめた。この試合で、パイレ
ーツの筒香嘉智が「6番・右翼」でスタメン出場し、9回裏に今シーズン第5号
となる劇的な逆転サヨナラ3ランを放った。
野球とは関係ないが、「つ・つ・ごう」という名前はちょっと発音しづらい。筆
者の知り合いの中でそれなりに英語の堪能な方に伺ってみると、あちらの国でも
やっぱり言いづらいらしい。筒香も「ツ・ツ・ツ・ギョー」なんて呼ばれたのは
初めてでは?
9回裏どんな場面
パイレーツ2点ビハインドの9回裏1死一、二塁の場面だった。筒香はカージナ
ルスのクローザー・右腕レイエスのスライダーを完璧に捉えると、打球は右翼場
外に消えていく逆転サヨナラ3ランとなった。この前、4回裏一死満塁のチャン
スで迎えた第2打席ではこの時点で1対1の同点に追いつく犠飛を放っており、
この日は3打数1安打4打点の大活躍で、チームの全得点を一人で叩き出した。
試合経過
この試合はカージナルスのペースで進み、3回表にタイラー・オニールのタイム
リー三塁打で先制したあと、4回裏に筒香の犠飛で同点に追いつかれたものの、
5回表にはトミー・エドマンが第9号の勝ち越し2ランを放ってパイレーツを突
き放した。先発の金廣鉉(キム・グァンヒョン)が4回3安打1失点で降板した
後、3人の投手で合計4イニング、パイレーツ打線を無安打無失点に抑え、最後
はクローザーのレイエスにバトンをつないだ。しかし9回裏、パイレーツは2つ
の四球で1死一、二塁のチャンスを作り、筒香がレイエスの初球の88.6マイ
ルの甘く入ったスライダーを捉えて第5号逆転サヨナラ3ラン。打球はライトス
タンド最上段を越え、場外まで運んで見せた。
結局この日の筒香はファーストゴロ、レフトへの犠飛、ファーストライナー、ラ
イトへの5号逆転サヨナラ3ラン。パイレーツへ移籍後は全13試合で打率.3
33、11打点、5本塁打と打撃好調を維持している。なお、シーズン通算での
打率は.192となっている。
パイレーツ・シェルトン監督は
代打でも、スタメンでも結果を残す姿に試合後のパイレーツ・シェルトン監督
は、「とても印象的で、ヨシは努力の才能だと思う。チームにとても貢献して
る。」と賛辞を惜しまなかった。移籍前のドジャース時代はマイナーで打撃を修
正してそれを移籍後の好結果に繋げているが、シェルトン監督は「メジャーに来
て苦しんだが、マイナーに行って日々調整に取り組んだ。その努力の結果が我々
のチームで実っている。」と話す。この日のヒーローになった筒香も、「もちろ
ん凄く嬉しい。パイレーツに来て勝ちに貢献できたことが一番嬉しい。」と充実
した表情を見せていた。
好調さの要因
ただし、今の活躍はパイレーツに居るからこそ、といった冷ややかなで見る向き
もあることは確か。今シーズンのパイレーツはお世辞にも強いチームとはいいが
たい有様だ。シーズン当初からナ・リーグ中地区最下位を「堂々」とひた走って
いる。これが上位チームなら相手投手の攻め方も格段に厳しいものになってく
る。ここまで在籍してきたレイズ、ドジャースは今シーズンずっと優勝争いを続
けてきておりパイレーツとはまったく異なった環境にある。この好調さがこのチ
ームに居てこそのものなのか、どこのチームにいても同じ成績を残せていたもの
なのか。いずれにせよ、日本人としてはこのままずっと活躍を続けていってもら
いたい気持ちに変わりはない。