4日(日本時間5日)、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMは今シーズンの総
括について会見を行い、今オフの補強について「常に投手優先であることに変わ
りはない。質だけでなく層の厚さも必要だ。」と、ピッチングスタッフを再編す
る考えであると明かした。今シーズンのエンゼルスは先発、リリーフとも故障者
が続出したこともあり、いわば崩壊状態も同然だった。チーム防御率4.69は
リーグワースト4位と低迷し、先発陣で勝ち星が計算できるのはチームトップの
9勝(2敗)を挙げた大谷翔平だけだった。来シーズン、8年ぶりのポストシー
ズン進出を目指すには投手力の整備が急務で、レギュラーシーズン終盤にはマド
ン監督が「先発は最低でも(大谷以外に)2人は欲しい」とフロントに要望した
ぐらいの状態だ。大谷は4日のマリナーズとの今季最終戦後にオフの補強につい
て問われると、「来年一年、どういう選手と(一緒にプレー)できるのかな、と
いうのも楽しみにしています」と期待を口にした。前述のミナシアンGMの言葉
からは、エンゼルスに大物投手が加わる可能性もあり来シーズンも投打の二刀流
を継続する大谷がメジャーを代表する投手とローテーションを形成することにな
るかもしれないのだ。
今オフの投手のFA市場は?
実は、今オフのFA市場は先発投手が豊富となっている。ドジャースからは、左腕
カーショー(33歳、通算185勝84敗、防御率2.49)、右腕シャーザー
(37歳、通算190勝97敗、防御率3.16)、アストロズからは右腕グリ
ンキー(37歳、通算219勝132敗、防御率3.41)ら、サイ・ヤング賞
の受賞経験のある投手が名を連ねている。ただし、実績は十分でも年齢がネック
になりそうだが、エンゼルスにとっては高齢の投手の方がかえって好都合だとい
う声もある。これは、エンゼルスが大谷中心のローテーションを組んでくる可能
性が高いからだ。どういうことかというと、二刀流の大谷はフィジカル面の負担
を考慮して最低でも中5日以上の登板間隔が必要となり、そうなると6人の先発
を用意しなければならなくなる。ここで、若手や中堅クラスの先発投手は中4日
のローテーションに慣れており、逆に必要以上に登板間隔があけばリズムが狂う
ため先発6人制を敬遠することが多いのであるが、肩や肘の回復が遅くなるベテ
ランにはむしろこちらの方が好都合だと言えるのだ。故障さえなければ勝ち星が
計算できるカーショー、グリンキーらにとっても今のエンゼルスは最適とも言え
る環境にあると言える。サイ・ヤング賞投手の加入は、もちろんチームにとって
は最高のメリットをもたらすものだが、大谷にも少なからずメリットを与えるこ
とになりそうだ。
エンゼルス投手陣のほんとうの問題点
ただし、今シーズンのエンゼルスは先発投手陣の不調でゲームを落としたと言う
よりも、中継ぎや抑えで逃げ切ることができなかったことの方がはるかに多い。
大物投手(先発投手)も大切だが、その後をまかせる投手をどうするか。今のと
ころではそのあたりがもう一つ不透明な状況であるのがやや気がかりではある。