17日、日本ハムが西川遥輝外野手、大田泰示外野手、秋吉亮投手に来シーズン
の契約を提示せず保留手続きを行わないと発表し、3選手は自由契約となり今後
は他球団と移籍交渉を自由に行うことが可能になった。なお、西川は海外FA
権、大田と秋吉は国内FA権を有している。この件について、水面下での動きが
活発になっている。

この日本ハムが今回選択した保有権の放棄はメジャーリーグでは「ノンテンダ
ー」と呼ばれている制度で、球団と選手双方にメリットがあるとされている。今
シーズンの3選手の推定年俸を見ると、西川は2億4000万円、大田は1億3
000万円、秋吉は5000万円とそれなりに高額だ。しかし、今シーズンの成
績をみると、西川は130試合出場で打率.233、3本塁打、35打点。24
盗塁で自身4度目の盗塁王を獲得したが、2014年からレギュラー定着後の打
撃成績ではワーストの成績に終わった。大田も打撃面では試行錯誤を繰り返すシ
ーズンを送り、ファーム降格も経験した。その成績も76試合出場で打率.20
3、3本塁打、20打点と不本意なものだった。秋吉も10試合のみの登板で勝
ち負けは無し。3選手の今季の年俸はBランク以上になるため、FA移籍する場
合は人的補償、金銭補償が必要となる。費用対効果を考えた時に他球団へのFA
移籍が現実的な選択肢ではなかったが、この自由契約で獲得に乗り出す球団は増
えると思われる。日本ハムの生え抜きスター選手だった西川、巨人から移籍後日
本ハムで大ブレークした大田の自由契約はファンにとっても驚きが大きいが、必
ずしも否定的な面だけではなく肯定的な面も大きい。
移籍先はどこか
3選手は日本ハムとの再契約の可能性が残されてはいるものの、この状況下では
他球団に移籍する可能性が高い。では、獲得に乗り出す球団はどこだろうか。現
状ではまだ名乗りを上げる球団は現れてはいない。こういった案件の際には真っ
先に名前の挙がる巨人ではあるが、今オフに関しては若手育成中心にかじを切る
ということでFA市場には参加しない方針だ。この3選手にも興味を示すことは
ないと思われる。大田に関しては巨人への出戻りもアリか、といった声もあるが
それもなさそうだ。鈴木誠也のメジャーリーグ挑戦で右の大砲の椅子が空く広島
もありそうだがこちらも若手育成で行くと考えられる。だが、意外なところでは
阪神もアリだ。揃って右打ちのサンズ、マルテの両外国人の来シーズンの去就が
不透明な中、その結果によっては大田に触手をのばすことは大いに考えられるこ
とだ。また、西川は今シーズンこそ結果を残すことができなかったとはいえ、昨
シーズンまではコンスタントに活躍してきており足もある。西川は関西の出身で
もあり、近本のような足のある選手がお好み?の矢野監督が興味を示しても何ら
不思議ではない。
西川は29歳、大田は31歳、秋吉も32歳とまだまだ老け込むような年ではな
い。実績がある選手たちだけに、新天地でも主力として活躍できる能力は十分に
ある。メジャーリーグではすでに、「ノンテンダーFA」を利用して活躍した選
手たちがたくさんいる。日本でも移籍の活性化や選手個々の野球人生を尊重する
選択肢として、日本ハム以外の球団もこの手法をどんどん取り入れることで日本
球界でも新たなトレンドになっていけばいい。