このオフ、新庄剛志新監督が就任した日本ハムファイターズは変革の時を迎えて
いる。海外FA権を持つ西川遥輝外野手、国内FA権を持つ大田泰示外野手、秋
吉亮投手の主力3選手に来シーズンの契約を提示せず保留手続きを行わないと発
表した。この3選手は自由契約となり、他球団と移籍交渉を行うことが可能にな
った。特に、巨人から移籍後日本ハムでブレークした大田は複数球団が獲得に名
乗りを上げる可能性が高い。大田の推定年俸は1億3000万円。今年の成績を
考えると減俸になるが、他球団にとって右の長距離砲は貴重だ。右翼の守備も肩
が強くて球際に強い。すでにいくつかの球団が調査をしていると思われる。年齢
も31歳とまだまだ若く、これから選手としての活躍が期待できる時期といえ
る。これからもレギュラーで十分に活躍できるはずだ。

大田は東海大相模高では1年秋から四番に座り、高校通算65本塁打をマークし
た。2009年ドラフト1位で巨人から指名を受けて入団。球界を代表する四番
として活躍した松井秀喜氏の背番号「55」を継承したことが期待の大きさを物
語っている。しかし、長距離砲として期待されたがなかなか一軍に定着できなか
った。課題だった確実性を上げるために打撃スタイルを変えるなど試行錯誤を重
ね、自慢の長打力が影をひそめる時期もあった。かつて、大田は巨人に在籍した
8年間について、こう振り返っている。「苦しかったですし、とにかく時が経つ
のが早かったなと。すごく期待してもらって入団し、しかも1年目から松井(秀
喜)さんの背番号”55”をもらって。否が応でも結果を出さないといけないとい
うか、自分で自分をどんどん追い込んで窮屈にしてしまっていました。”僕はこ
ういう選手にならないといけないんだ”みたいに勝手な高い理想を作って、そこ
でがんじがらめになっていた。もちろん注目してもらえることは幸せなことなん
ですけど、一方でそれがプレッシャーになっていたのも間違いないです。」
移籍後の成績
持っている潜在能力は間違いなく高い。2016年オフに日本ハムへトレードさ
れると、野球人生が好転した。移籍1年目の2017年に外野のレギュラーに定
着し、打率.258、15本塁打、46打点をマークし、プロ9年目で初の規定
打席に到達した。翌2018年は打率.274、14本塁打、59打点でこのオ
フに背番号「33」から「5」に変更となった。続く2019年に打率.28
9、20本塁打、77打点と自己最高の成績を更新した。この頃は主に2番を打
っており、まさに「超攻撃型二番打者」として活躍した。
ここ2年間
昨シーズンは打率.275、14本塁打、68打点と前年より数字が下がった
が、守備の方では右翼でパ・リーグ2位の7補殺をマークするなど自身初のゴー
ルデン・グラブ賞を獲得した。今シーズンは打率.204、3本塁打、20打点
と状態が上がらず一軍に定着できなかったが、このまま終わる選手ではない。プ
ロ14年目の来シーズンはどの球団でのプレーを決断するだろうか。いまから楽
しみな選手の一人である。