去る10月10日、連敗からなかなか抜け出せない状況にあったタイミングで巨
人の原監督が来シーズンも続投へ、の報道がなされた。報道が出た以上は、それ
ほど時間を置かずに正式発表があるものと見られていたにもかかわらず、球団か
らの正式発表はなく事の真偽はどうなのかといった状態が2週間ほど続くことと
なった。その後、23日の本拠地東京ドームでの最終戦対ヤクルト戦で勝利をお
さめ、何とか巨人がクライマックスシリーズ進出を決めるとようやく山口寿一オ
ーナーが報道陣に「続投を要請して、内諾を得た」と明かすに至った。今シーズ
ンは原監督にとって3年契約の3年目ということになるが、球団関係者による
と、読売グループ内では早い段階で契約を1年延長し、後継者の阿部慎之助を一
軍のヘッド格に据えて帝王学を学ばせることが既定路線になっていたと話してい
る。それであるならば、10日の第一報の後すぐにも発表がありそうなものだっ
たのだが、阿部二軍監督が二軍から一軍の作戦コーチに配置転換されてから連敗
のトンネルに入ってしまい、広島に猛追されてクライマックスシリーズ出場さえ
危ぶまれる状態になったことで、続投発表のタイミングを逸してしまったという
ことのようだ。 おそらく、連敗中の続投発表はなかなかできずに時間だけが過ぎ
去り、発表のタイミングはクライマックスシリーズ終了後か、シーズン終了後の
どちらかになることもあったということた。ただ、この後の展開次第、たとえば
クライマックスシリーズのファーストステージで無残な完敗を喫するようなこと
があれば原監督が責任を感じて辞める可能性はあるかもしれない。現状、来シー
ズン続投が報道されたばかりではあるが、周囲ではまだその去就は流動的なもの
ではないのかといった見方がもっぱらだ。何にせよ、原監督の去就を決定するの
は原監督自身ということだ。
後継者への禅譲は
さらに、ここで気になるのが原監督がどうやら複数年契約を軸に来シーズンの続
投が決まったということだ。そうなると、現在一軍の作戦コーチにある原監督の
後継者たる阿部慎之助への政権禅譲はいったいいつになるのか。24日の神宮で
の今季最終戦となった対ヤクルト戦に敗れ、今シーズンは61勝62敗20引き
分けで2018年以来3年ぶりに負け越しでシーズン終了となった巨人。ギリギ
リで3位確保も原政権でいえば2006年以来の負け越しが決まり、「こういう
成績になったというのは、原因はしっかりあると思いますね」と原監督は厳しい
表情で今シーズンの戦いを総括した。前日23日の本拠地最終戦後には、山口オ
ーナーから続投要請を受けたばかりだ。あわせて元木大介ヘッドコーチの留任
と、今月5日付で二軍監督から配置転換されていた阿部作戦コーチの一軍残留も
内定した。山口オーナーは、「阿部君が一軍のベンチに入るということはどうい
うことか、本人も分かっていると思う」と語っており、2年前の現役引退時から
既定路線だった原監督に帝王学を授けられ指揮を引き継ぐ方針を再確認した格好
だ。ただ、原監督の新たな契約は複数年を軸に今後詳細を詰めるといことになっ
ており、年数が明示されないなら政権移譲に向けた行程も不透明なものとなって
くる。そもそも現在の原政権は当初、3年契約が満了となる今シーズンオフでの
バトンタッチが構想されていたはずだ。長嶋監督が2001年限りでの勇退を決
め、そのシーズンの采配を当時の原ヘッドコーチに任せたように、今度は原監督
が阿部コーチに指揮権を委ねることができるのか。やはりすべては原監督が決定
することとなりそうだ。