阪神タイガースの絶対的守護神ロベルト・スアレス投手が11月30日が提出期
限となる保留者名簿から外れることが濃厚となった。名簿に記載されなかった選
手は言ってみれば市場に出てしまうことを意味する。すなわち、自由契約となり
他球団との交渉が可能となる。

阪神は昨年オフに年俸250万ドル(約2億6000万円)の2年契約を結んだ
が、2年目の選択権はスアレス側にある。スアレスはメジャーリーグの数球団か
ら注目を浴びており、当然ながら残留交渉は簡単ではない。もしメジャーリーグ
行きという結末を迎えれば、2022年の阪神タイガースの戦いが一気に計算の
立たないものとなることは必至だ。 阪神球団助っ人の新記録となる42セーブ
に、2年連続でセ・リーグの最多セーブ。その成績や数字だけでも圧倒的だった
が、今シーズンの貢献度はずば抜けていた。連投やイニングまたぎもいとわず、
最速163キロの剛速球で相手打者をねじ伏せ、セーブ失敗はわずかに1度しか
ない。先制し逃げ切る戦いを得意とした今シーズンの阪神にとっては、流出とな
れば戦い方の大幅な見直しを迫られることになる。しかし、振り返ってみれば昨
シーズンのオフもスアレスは保留者名簿から外れたものの、その後も交渉は続い
て12月24日に再び阪神と契約を結ぶに至った。過去にはドリスも、2018
年12月初旬に自由契約選手として公示されたのちに残留に合意したことがあっ
た。名簿から外れることがそのまま退団となるわけでは決してない。スアレスが
離日した11月10日には矢野監督も、「お願いと言うとなんだけど。スアちゃ
ん頼むぞ、と。俺らの気持ちはこうだからなというのは伝えた。」と最後の訴え
を行っていたことを明かした。嶌村球団本部長も、「矢野監督のコメントにもあ
ったけど、あれだけの抑えがいたらそりゃ非常に助かりますよ。そういった思い
は現場も球団も間違いなく一緒なんで。」と同意している。守護神を決して離さ
ないために、今後も阪神サイドとしては誠意を尽くすより他ない。
スアレス自身はどうなのか
スアレス自身は、「(ファンに)私のこともチームのことも応援よろしくお願い
します。これからもチーム全員100%で頑張ります。」という言葉を残してい
る。来シーズンのラストイニングを安心してみていられるのか否か、すべてはこ
のオフに繰り広げられる激しい交渉に懸かっている。